狭いが勝ちか、スプレッド競争の臨界点-SBI FXトレードのケース(第3回)

スプレッドと収益性のバランス

 SBI FXトレードの矜持は、SBI グループという金融グループの一員であるということ。金融グループとして正しいFXを提供する。だからスプレッドも相場に応じて臨機応変に対応する。それが、顧客のためになり、同社にとっても競争力と収益性の良いバランスを探ることにもなる。

 こういった狭いスプレッドはどの程度収益性に影響するのか。同社の場合、設立1年足らずで黒字に転じている。同じグループ内のSBILMがシステム等すべて自社開発を行っているためコスト負担を圧倒的に押さえられるので、その分をスプレッドなどの顧客サービスに転嫁することができ、ひいては収益性に対するインパクトを与えにくくしていることになる。したがって、仮に一段と競争が激化しても、他社と比べてダメージは少ないと考えている。

 2013年12月からはスリッページ規制がスタートするとあって、最近ではそれに伴ってシステムを入れ替えるFX会社があるようだが、元々、顧客本位のSBI FXトレードのシステムには何ら変化は生じていない。提示されているレートでビシッと決まる約定力は当然のことだと思っている。最初からスプレッドを注文数量ごとに8段階に分けて提供しているのは高い約定力を実現するためでもある。このことがSBIという金融グループにおけるFX専業会社としての一番の矜持なのかもしれない。

 この記事を書いている間にも、同社は200万1通貨からの取引を「SUPER DEALERS’ZONE」として、「ディーラーマンプライス」を提供するというニュースを発表した。「ディーラーマンプライス」とはインターバンクと同水準の注文数量で取引する顧客にSBILMのディーラーが取引するのとほぼ同水準のレートでの取引するというものだ。取材時に、新しいステージで大口顧客へのサービスを計画しているという話であったがこのことだと判明した。

 FX会社同士で互いにインスパイアしあい切磋琢磨してFXの世界を盛り上げて行ってもらえれば、個人投資家も気軽に安心して取引が出来るというもの。ほどほどの“適当なスプレッド競争”が、業界的な存続発展につながると思うが、だれがその幕を引くのか、それともこれからまた一層激化の様相を呈していくのか、現時点ではなんとも見当がつかない。

 しかし、FXが誕生してほぼ15年。そろそろ“スプレッド”主流から新たなストリームを形成して行ってもいいような気がする、スプレッド競争で業界全体が疲弊しない前に。

(全編終了)

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