狭いが勝ちか、スプレッド競争の臨界点-SBI FXトレードのケース(第2回)

良過ぎるスプレッドの弊害

 SBI FXトレードの藤田行生取締役は次のように説明する。

「7月にスプレッドを拡大したのには、主に2つの理由があります。一つは当時の取引流動性の著しい低下により急激な相場変動が続いた外国為替市場において、インターバンクですら適正なプライス形成が難しくスプレッドワイド化も半ば恒常的になっていた。こういった状況下では、会社として低スプレッド提供に努めつつも、マーケットの実勢に照らした最低限の見直しを行う必要があったこと。
そしてもう一つは、仮名・借名口座と思われる手法で、当社の取引数量別スプレッドを悪用した取引(複数口座を用い、狭いスプレッドを狙った注文を一斉に行う等)が同時期において急増したことがあります。当社のお客様の注文は親会社のSBIリクイディティ・マーケット(以下、「SBILM」)を通じてインターバンクでカバーしていますが、これらの取引により、想像を超えるような大口のフロー(顧客注文)が出てしまい、またそれを市場に出すことによって、更に市場を動かしてしまうという悪循が生じました。当社としましては、お客様にマーケットの実勢に比べ、格別良いスプレッドを提供し続けていたため、かえって当該悪循環を惹起してしまったのではないかとの反省もあり、フローを管理し市場を落ち着かせるために、マーケットの実勢に照らしたスプレッドの見直しを行うという英断に踏み切ったのです。」

 では、直近10月のスプレッドの縮小はどういう理由なのか。「当社は可能な限りのスプレッドを提供するという方針に変りはありません。7月にスプレッドを拡大したおかげで市場が落ち着いて来ましたし、ドル円も100円台に乗せてきましたので、年末に向けてお客様に何かできることはないかということで、また縮小することにしたのです。」(藤田取締役)

 こういった経験を積んで、健全な市場を維持するための万全な管理体制を再構築し、工夫もこらした。企業秘密だそうだが、カバー先であるSBILMでは単純にカバーするだけでなく、カバー率を下げずに効率よくカバーできるスキームを有しているという。

 後発組の宿命として、スプレッド競争に身を投じてはいるが、同社の目的はスプレッドをタイトにすること自体や取引高を増やすことではなく、顧客のニーズに応えることだ。だから、初心者や若年層、小口取引にも利用してもらいやすいサービス(注文数量が少ない方が有利なスプレッドなど)を行っている。

狭いが勝ちか、スプレッド競争の臨界点-SBI FXトレードのケース『スプレッドと収益性のバランス』(第3回)に続く)

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