英国規制当局 顧客資金の保管制度について諮問

フォレックス・マグネイト日本版より配信】

英FSAは、投資関連ビジネスを行う企業が預かる顧客資金及び保管資産(併せて「顧客資産」と呼ぶ)について多くの改革案を諮問案(CP)及び審議案(DP)として公開した。

欧州金融市場基本規則(EMIR)による改革依頼に加えて、英FSAは、企業が顧客資産の保護のやり方について早急な対応が求められる改革案を提案した。FSAは、投資関連企業が破綻した場合に、顧客資産が適切に保護されるよう最適な方法を見出すために意見を求めている。

本日の提案は、3つの首題に纏められる。

その1:EMIRに伴う変更
EMIRによって導入される対策の一つは、クリアリング・メンバー(決済機構会員、ブローカー等)が破綻した場合に、他のバック・アップ・クリアリング・メンバーに顧客のポジションや関連資金をスムーズに移管できるように、中央決済機構(CCP)又はクリアリング・ハウス(決済機関)を準備することだ。

これらの変更は、現行のルール上で行われている、顧客資金を分別管理により分別し、(破綻の際に)顧客に資金を返還するやり方の代わりに、CCP制度で取引口座を持つ顧客の資金は、分別口座から分離し、直接、資金の移管、返還ができるようにすることを意味する。

その2:複数の分別保管制度の導入
EMIR規則の導入は、CCPに預けてある顧客資金を保護するやり方について、企業に裁量を与えている。FSAはさらに踏み込んで、投資関連ビジネスに関係する、すべての企業が顧客資金を保管する際に同様の裁量を与える方向で提案している。これは、20年以上に亘って行われてきた顧客資金管理体制に重大な変更を与える「顧客資金の複数分別管理」の導入を意味する。

現行の顧客資金管理は、投資関連企業が破綻した場合、単一分別管理がベースとなっている。しかし、今回の提案は、各企業が顧客と同意すれば、合法的に、顧客資金をサブ・プールに分別することができるとしており、(既存の単一プールに比べて)多くの優位点を含んでいる。

今回の案では、顧客資金の特定のサブ・プールでの顧客資金の不足が起きないように、サブ・プールごとの管理体制を導入する。ある企業のすべての顧客が特定のサブ・プールの損失を全体で負担し合うことがない様にする。サブ・プールについて不要な論議を避け、顧客資金の返還率と返還スピードをあげるため、特定のサブ・プールから直接、顧客資金を返還できるようにすることを目指している。

FSAは、投資関連ビジネスの関連企業が、顧客と合意の上で、顧客資金のサブ・プールを設定できるように提案している。例えば、ある企業は、他の投資関連ビジネスと区分して、プライム・ブローカレッジ・ビジネス向けに、顧客資金のサブ・プールを作りたいと思うだろう。一方、顧客は他の顧客資金と区別される、自分自身のサブ・プールを持つことに同意するだろ。FSAは、各企業が顧客の各サブ・プールを、例えば、ホールセール向け顧客分又はリテール向け顧客分などと分けることも視野に入れている。

その3:顧客資金管理体制、より良い結果を得るために
その3は、審議案(DP)で示した、FSAがすでに開始している顧客資金と保管資産の管理体制の基本的な見直しである。この見直しは、企業が破綻した際に、より良い結果を素早く導く管理体制を実現することに焦点があてられている。一方、認識しておかなければならないのは、倒産関連法規は、FSAルールではなく、(会社法等の)基本法であるということだ。この見直しは、これまでに発生した、リーマンブラザーズやMFグローバルの破綻例から浮かび上がった、業界のニーズに基づいている。

見直しの目的:
投資関連ビジネスの企業が破綻した際には、速やかに最大限の顧客資金を返還し、破綻の影響を極力抑える必要がある。審議案(DP)は、FSAが考えている多くの変更案を開示している。一方、FSAは、この件に関する英国の健全な体制を堅持するための一般からの提案を受け付けている。

FSAの顧客資金管理部門のリーダーであるRichard Sutcliffe氏は、「新たな顧客資金の保護制度を整備することは、現在のFSAの優先事項の一つであり、英国の金融市場が今後も投資家にとって安心して投資できる市場であるための長い道のりだ。EMIRの要請に加え、FSAは、業界へのさらなる安全弁を提供したい。顧客資金のサブ・プール管理手法の導入は、20年以上を経て、はじめて起きる著しい変革だ。今回の抜本的な見直しは、これまでの破綻劇からの教訓を踏まえた、ディベート(討議)を求めている。」と述べた。
フォレックス・マグネイト日本版

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